札幌高等裁判所 昭和53年(行タ)3号 決定 1978年10月23日
申立人
能勢壽雄
主文
本件忌避申立を却下する。
理由
一本件忌避申立の趣旨及び原因は、別紙記載のとおりである。
二よつて案ずるに、当庁昭和五二年(行コ)第二号課税徴収不作為違法確認、課税処分取消各請求控訴事件記録によれば、控訴人・由立人、被控訴人・石狩町長鈴木与三郎間の右事件(以下、「本案事件」という。)は、当庁第二部の裁判長裁判官A、裁判官B、裁判官Cをもつて構成する受訴裁判所によつて審理され、昭和五三年六月二七日午前一〇時の口頭弁論期日に口頭弁論が終結されたことが認められ、右裁判長裁判官Aが昭和五三年九月一二日に退官したことは当裁判所に顕著な事実である。面して右事件記録によれば、当庁第二部の裁判官Dは、裁判長として、同年同月一七日に、本案事件の判決の言渡期日を同年同月二六日午後一時一〇分と指定したことが認められる。以上の事実によれば、本案事件の判決を下すのは、前記受訴裁判所を構成する裁判官らであつて、その構成員でない裁判官Dは本案事件の裁判に関与(判決言渡だけをすることはこれに含まれない。)するものでないことは明白である(民事訴訟法第一八七条一項)。されば裁判官Dが本案事件の裁判に関与することを前提として、同裁判官につき本案事件の裁判の公正を妨ぐべき事情ありとする申立人の本件忌避申立は、その前提において失当であつて、爾余の判断をなすまでもなく、理由のないことが明らかである。
三よつて、本件忌避申立を却下することとし、主文のとおり決定する。
(宮崎富哉 塩崎勤 村田達生)
別紙<省略>